―日本舞踊の世界ってベールに包まれた特殊な世界というイメージがありますが、実際はどうなのでしょう。
そうですか? 着物を着ているからかなぁ(笑)。僕は子どものころから馴染んだ業界なので、
自然な「踊りの好きな人が集まって踊りを表現したり創作したり、踊りの良い点を伝えていくところ」と思っています。特殊っていうのは
テレビ番組の情報からくる過分な印象じゃないですか(笑)。
―ミーハーな質問ですみませんが、芸能ニュースやテレビドラマじゃよく、伝統芸能の家元騒動が伝えられますよね。あれはそのまま現実なのでしょうか?
あははははは、それはある程度、現実でしょう。いや、ほとんどそのまま現実でしょうね、
そんな世界です、多分。
見栄、虚栄心、ねたみ、プライド、という表現がぴったり、なんて言われてますよね?(苦笑) まあ、政治家レベルの争いのように
壮絶な競争、という話も耳にすることはありますよ。大きなお金が動くところでは動くのでね。
でもそれは特殊というのとは違うと思うんですよ。どこの業界にでもあることじゃないですか。日舞や相撲、茶道華道には別世界の
雰囲気というご指摘もよく受けますね。やっぱり着物を着ているからかなぁ(笑)。
何か閉鎖的な匂いを感じ取られるのでしょうか。情報を取り出しにくいというような。日本の文化や伝統は昔から、日本という国が
そうであるように、よく言えば奥ゆかしい、普通に言えば壁を立てる気質なのでしょう。気質を変革するのは大変でしょうが、だから
吉祥流は最初からそういう世界とは隔絶した、踊りを堪能する流派ということを身上にスタートしています。僕が創ったのだし、なん
でも開けっ放しです(笑) 。
―他の流派との交流は具体的にどういうことをされるのですか。
他の流派の発表会に出演させていただいたり、吉祥流のイベントに出ていただいたりして、技術や舞踊の
精神を見せ合う。とても大事な方法です。いい刺激になりますよ。京都の歌舞練場での顔見世公演には全国から舞踊家が集まるので、たくさん
の他流派の方と知り合えます。
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